研究の概要
以下の宇宙用太陽電池セルの研究開発を行っています。
薄膜3接合太陽電池
薄膜3接合太陽電池はインジウムガリウムヒ素をボトムセルとした、3つの太陽電池を積層した構造をしています。3つの太陽電池によって効率的に光を吸収することができ、変換効率はエアマス・ゼロで32%を実現しています。 また、薄膜3接合太陽電池は非常に薄く柔軟性があるため、その特長を活かしたセルアレイシートの研究開発を行っています。
CIGS太陽電池
CIGS太陽電池は銅、インジウム、ガリウム、セレンの化合物を材料とした太陽電池です。放射線耐性が極めて高いという特徴があり、小型衛星を用いた宇宙実験でも宇宙環境で劣化しないという結果を得ています。 次世代型宇宙用太陽電池として、高い変換効率と高い放射線性耐性の実現を目指し、ボトムセルをCIGS太陽電池としたメカニカルスタック型3接合太陽電池の研究開発を行っています。
研究成果(より詳細な研究内容)
宇宙用太陽電池の開発だけでなく、性能向上につながる知見を得るため、評価技術や放射線照射効果に関する研究を行っています。
評価技術
多接合太陽電池は複数の太陽電池(サブセル)が直列に接続されたものであり、その電気特性は複雑です。性能向上のためには、直列に接続された各サブセルの特性を分離して評価を行う必要がありますが、通常の評価法ではそのようなことはできません。 そこで、太陽電池の発光に着目した評価技術の研究を行っています。一般的に太陽電池は光エネルギーを電気エネルギーに変換するデバイスですが、電気エネルギーを光エネルギーに変換することも可能です。 太陽電池に電流を注入すると各サブセルがそれぞれ違う波長で発光しますので、分光することで各サブセルの特性を分離することが出来ます。
放射線照射効果
太陽電池の放射線劣化メカニズムの解明に取り組んでいます。太陽電池は放射線を浴びることでその性能が劣化します。劣化量は太陽電池の種類によって異なり、放射線耐性が弱いものもあれば、CIGS太陽電池のように非常に耐性が高いものも存在します。 各太陽電池に対する放射線照射効果や劣化メカニズムを解明することで、宇宙の過酷な放射線環境でも長期間にわたって使用可能な太陽電池の実現を目指しています。