研究の意義価値
宇宙開発を取り巻く環境が急速に変化する中で、性能やコスト、利便性など、様々な観点で総合的に評価される宇宙システムの価値は見極めが難しくなっています。このため、適切なシステム検討がされないと、優れた要素技術を持っていても十分に活用できなかったり、 要求を満たせなかったりします。
本研究では、宇宙システムの概念検討とそれを支えるシステムズエンジニアリング技術、宇宙システム技術の研究開発を通じて、インパクトの大きいアウトカムを生み出す将来の宇宙開発ミッション、宇宙利用につながる新規の方式、実現手段の提案をすることで、 魅力的で競争力のある宇宙システムの構築を行います。
研究の目標
JAXAが事業として提案するシステムの概念検討
JAXAが構想する将来の宇宙計画について、アイデアを具現化し、斬新で実現可能かつ国際競争力のあるシステム構成と計画の成立性を立案します。内閣府の宇宙基本計画上のプロジェクトの事業化に向けた検討と立ち上げやJAXA内の各部門と連携した 新たなシステム構想の提案を行います。また、検討の中でシステム視点での鍵技術の識別を行い、研究開発部門の研究計画化につなげます。
内閣府の宇宙基本計画上のシステムの概念検討
- 技術試験衛星9号機
- 先進レーダー衛星(だいち2号後継機)
- 革新的衛星技術実証
JAXA内の各部門と連携した新たなシステム構想
- 「きぼう利用」、「ホステットペイロード」等利用の宇宙実験の構想
- グローバルな社会課題解決を目的とした地球観測システムの構想
- ミッション探求フェーズにおけるミッションの構想
システムエンジニアリング技術の研究開発
現在までに培った「ことづくり」の概念検討プロセスを骨格として、Model Based Systems Engineering(MBSE)の活用とノウハウの蓄積を行っています。JAXAでは、社会・文化の言葉で語られるアウトカムを自然科学の言葉で変換することにより、理学・工学の言葉に変換します。それにより、効果効用の技術との関係性を可視化することができ、感度、アーキテクチャ変更、方式革新などを目指します。
また、解析ツール、過去の概念検討結果、デザインパターン等の知識データベースの整備を行うことで、概念検討の完全性、定量性、迅速性の向上を目指します。デザインスタジオ「創発考房」を舞台に、レベル、深度に応じたシステムの概念検討を実施します。
宇宙機アーキテクチャ刷新検討
新たな価値を生む現状の宇宙機のアーキテクチャ(機能要素と構造要素の対応関係)の刷新を構想し、新たな研究の創出に繋げています。
「ものづくり」から「ことづくり」へのパラダイムシフト
「ことづくり」の概念検討プロセスとMBSEによる課題探索と課題のデザインを通じて、宇宙を機会として捉え、どのように活用していくかを共にデザインするパートナーの開拓も進めています。未来をデザインし、具現化する情熱のあるパートナーからのコンタクトを歓迎します。