研究の概要
軌道上の宇宙ゴミ(スペースデブリ、またはデブリ)は、年々増加の一途をたどっており、将来的には人類の宇宙活動の妨げになると予想されます。
JAXAは、宇宙活動の安全を確保し、持続可能な宇宙開発を将来にわたって進めていくために、政府・内外の関係機関との連携強化を進めるとともに、スペースデブリに関する様々な研究開発に取り組んでいます。
この「宇宙活動の安全確保」研究の大きな目標として、スペースデブリ除去の実現があります。図1に示すように、事業化意欲のある民間事業者とともに、既存の大型スペースデブリ除去を世界に先駆けて行い、その優位性を活かして新しい事業分野を切り開くことを目指しています。 図2に示すように、段階的で着実な進め方となるよう、まず比較的小型の衛星でキー技術の実証を行い、その成果を活かして、世界初の大型スペースデブリの軌道上からの除去技術を実証する計画を検討しています。
この目標を達成するために、図3に示す研究開発活動を行っています。スペースデブリを除去するためには、まず、ターゲットであるスペースデブリの状況をよく把握する必要があります。そのための観測技術の研究を実施しています。 JAXAが想定するスペースデブリ除去の流れは、図3に示すように、まず非協力的物体であるスペースデブリにランデブし、次にそれを捕獲・把持し、結合状態で誘導制御を成立させます。 次に、小型で高効率な推進系で軌道高度を下げ、最後は廃棄軌道への投棄や、安全を確保した上での地上へのリエントリを行います。 これらの一連の流れの中で、これまでの宇宙機にはないさまざまな新しい要素技術を開発する必要がありますが、JAXAではそれらの研究開発に取り組んでいます。
また、スペースデブリ問題の解決には、世界各国との連携が大変重要です。JAXAでは、宇宙開発を行う各国機関と協調し、関連する諸研究における最新の技術や知見を積極的に利用しつつ、 デブリ削減のための国際的な基準や方針について、有効な提案や戦略的な提言を行っています。