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支える研究観測センサ研究

地球観測センサシステムは、使用する電磁波の領域(光/電波)および観測方式により、種類が多岐にわたります。

本研究では、JAXAにおける網羅的なセンサシステム設計技術の蓄積を踏まえ、10~20年後を見据えて、必要な要素レベルの技術研究、センサシステムの研究と、そのセンサシステムを利用したミッションをJAXA内外と協力して検討しています。

そして、研究成果を今後の地球観測ミッションとして実現していくことを最終的な目標としています。

研究の意義価値

衛星による地球観測は実社会に役立つインフラとなりつつあり、搭載される観測センサは、それを直接担うシステムです。センサシステムの目的は、主に地球で反射する、あるいは自ら発生する電磁波を観測することであり、できるだけ広い範囲の電磁波の領域で、 時空間的、波長空間的に精密な観測を行うため、最先端の技術を組み合わせたセンサシステムや観測衛星群を研究しています。

温暖化や異常気象といった地球規模の課題や、自然災害の被害低減、日々の生活や産業に必要な大気や海洋、陸の情報を確実に捉え、社会生活に貢献します。

研究の目標

光領域の能動センサ(レーザーレーダ(ライダー))


ISS搭載ライダー実証(MOLI)
近い将来のセンサシステムとして、これまで日本では実績のなかった光領域の能動センサの研究を実施しています。ライダーは、通常のカメラでは観測できない鉛直方向分布の観測が行えるため、将来の立体観測で有望なセンサです。
観測センサ研究では、ライダー技術により宇宙から森林高さ情報を観測して森林バイオマスの高精度推定に貢献するための宇宙用植生ライダー(MOLI)の研究を行っています。
また、エアロゾルの高度分布や地表面の情報から、風向、風速、地表面などの情報を引き出すための将来ライダーの検討も開始しています。

受動の光学センサ

より大型化した望遠鏡により、静止軌道からの詳細な観測を実現するシステムの研究を行っています。

電波領域のセンサ

光では雲があると地表面が観測できませんが、電波だと雲を透過して地表面を観測することができます。
観測センサ研究では、合成開口レーダ(SAR)の基盤技術と将来技術の研究を行っています。
基盤技術としてはターゲットの偏波散乱情報からターゲットの物理特徴量を推定する研究や地上設置型SARを用いたホログラフィやトモグラフィの研究、マルチビーム技術を利用した広走査幅化、これまでより低周波や高周波(ラジオメータ用は光に近いサブミリ/テラヘルツまで) による観測周波数範囲の拡張、複数周波同時観測を行う広域観測SAR技術、衛星に搭載する船舶自動識別装置(AIS)用受信システムの高性能化等の研究を行っています。

P/L帯のデュアルバンドSAR

要素技術


テラヘルツ用軽量高精度複合材アンテナの試作品
観測センサ研究では、大出力パルスレーザー送信機、新しいTypeⅡ超格子*や非冷却の赤外エリアセンサ、テラヘルツ用軽量高精度複合材アンテナ、これから積極的に利用が期待されるメタマテリアルなど、先進的な技術研究により、 将来のセンサシステムの可能性を広げています。
また、宇宙機関としてトレーサビリティの確保をするために実施している観測用のカメラや放射計のラジオメトリック特性の校正・性能評価試験校正方法を熱赤外に拡張する赤外校正技術研究にも取り組んでいます。

*TypeⅡ超格子赤外センサ:InAsとGaSbを交互に積層させる新しい赤外センサであり、従来のHgCdTeに比肩する高感度と高温度動作が期待されている。