研究の意義価値
本研究を実施することにより、通信ペイロードの国際競争力を表すベンチマークとして設定する、Payload flexibility, Ground system flexibility, Quality, Cost, Delivery すべての項目で、海外の現状レベルと同等、またはそれ以上のレベルを獲得することを目指します。
研究の目標
次々世代通信衛星ペイロード要求の分析、通信ペイロード構成の検討
本研究では、DP、APAAへの要求を明確にするために、ユーザ要求(衛星通信事業者からの要求)を詳細に分析し、それらを実現するために必要な次々世代の通信衛星ペイロードの設計検討を実施しています。
上記検討を進めることにより、DP、APAA等の搭載通信機器への機能・性能要求配分を明確にし、来年度以降に予定している要素技術試作、BBM等の開発、実証を行うことを目的としています。 また、通信ペイロード設計を実施する上では地上システムとの連携も必須であり、いかに効率的に通信衛星ペイロードを運用していくか、衛星運用事業者と連携しながら検討を進めています。
COTS品FPGAの耐環境性に関する研究
2020年代に必要とされる次々世代通信衛星システムに必要な通信ペイロードに適用することを目的とし、現在の宇宙機で使用されている宇宙用ディジタルデバイス(ASIC、宇宙用FPGA等)よりも高性能(大容量/高速/書換可能)な COTS(Commercial Off-The-Shelf)品FPGAの耐環境性に関する研究を行っています。
次々世代の通信衛星ペイロードは、ユーザ収容数(チャネル数)の増加、通信レートの高速化、サービス変更への柔軟な対応(軌道上でのリコンフィグレーション)が求められることが予想され、これらの要求に応えられるCOTS品FPGAの 環境に対する耐性(放射線、熱、振動等)を評価する必要があります。
本研究ではその一環として、まず初めに候補となる数種類のFPGAにレーザや放射線を照射し、FPGA各部位(ロジックセル、RAM、PLL等)の放射線耐性を把握し、それを基に放射線に強い設計を検討します。