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Outline 革新的衛星技術実証1号機

About 小型実証衛星1号機

概要

小型実証衛星1号機(RAPIS-1:RAPid Innovative payload demonstration Satellite 1)は、公募により選定された7つの部品・機器の実証テーマを軌道上で実証するための衛星です。実証テーマ提案者からの要求を受けて衛星の運用を行い、実証機器の実験データおよび実験実施時の環境データを提供します。衛星は、部品・機器の実証のための「ミッション系」と人工衛星としての機能を維持する「バス系」から構成されますが、革新的、かつ目的も様々なミッションが同じ衛星に搭載されることを考慮し、可能な限りミッション系とバス系を独立にするよう設計していることが特徴です。また、本衛星は株式会社アクセルスペースが開発を担当しており、JAXA衛星で初めてベンチャー企業が製造する衛星です。

主要諸元

打上げロケット 強化型イプシロン
射場 内之浦宇宙空間観測所
打上げ 平成31年1月18日 9時50分20秒(日本標準時)
軌道 太陽同期軌道 高度500±20km
衛星質量 200kg max
衛星サイズ 1022mm×1082mm×1060mm
(衛星構体のみ。分離部/突起部除く)

Theme 実証テーマ紹介   →  テーマ一覧はこちら

部品・コンポーネント(小型実証衛星1号機「RAPIS-1」に搭載)

(1)革新的FPGA(NBFPGA:NanoBridge based Field Programmable Gate Array)

テーマ名「革新的FPGAの耐宇宙環境性能軌道上評価」(日本電気株式会社)

我が国独自の動作原理(原子スイッチ:ナノブリッジ)に基づく革新的FPGAであり、書換え可能ながら回路構成情報を蓄えるメモリは不要で、回路構成情報に関する放射線ソフトエラーの発生確率が小さく、高信頼化が可能かつ最先端FPGAと比較しても大幅な低消費電力化、および小型化が可能なFPGAの軌道上実証を行う。
  • 諸元表
    サイズ 28×28×3.4 mm
    重 量 4.9 g
    実施責任者 システムプラットフォーム研究所 杉林 直彦 技術主幹
(2)Xバンド高速通信機(HXTX:High data rate X-band Transmitter)/ Xバンド中利得アンテナ(XMGA:X-band Middle Gain Antenna)

テーマ名「X帯2-3Gbpsダウンリンク通信の軌道上実証」(慶應義塾大学)

降雨に強く、省電力、低価格のX帯通信システムでありながら、周波数利用効率が極めて高い、地球周回衛星からでは世界最高通信速度のX帯2-3Gbpsダウンリンク通信を実証。
  • 諸元表
    サイズ Xバンド高速通信機:250×206×192 mm  Xバンド中利得アンテナ:φ136.1×188.5 mm
    重 量 Xバンド高速通信機:6.6 kg  Xバンド中利得アンテナ:0.6 kg
    実施責任者 大学院システムデザイン・マネジメント研究科 / 科学技術振興機構ImPACTプログラム 白坂 成功 教授
    共同実施者 東京大学 中須賀 真一、 JAXA宇宙科学研究所 齋藤 宏文
(3)グリーンプロペラント推進系(GPRCS:Green Propellant Reaction Control System)

テーマ名「グリーンプロペラント推進系の軌道上実証」(宇宙システム開発利用推進機構)

  • 推進系に求められる期待に対応し、小型衛星に適した低毒推進系の軌道上実証。
  • (1)運用性向上: 作業性・取扱い性向上
  • (2)低コスト: 安価な材料の使用
  • (3)低消費電力: 低凝固点による消費電力低減
  • (4)高性能推薬:高密度高比推力HAN系推薬
  • 諸元表
    サイズ 840×430×531 mm
    重 量 8.34 kg(推進剤含む、パネル含まず)
    実施責任者 研究開発本部システム開発部 岡 範全 担当部長
    共同実施者 JAXA宇宙科学研究所
(4)粒子エネルギースペクトロメータ(SPM:Space Particle Monitor)

テーマ名「粒子エネルギースペクトロメータの軌道上実証」(宇宙システム開発利用推進機構)

将来市場拡大が見込まれる小型衛星搭載等を想定して開発した民生部品を使用し、小型、軽量、低コスト、短納期である軌道上環境観測装置
  • 諸元表
    サイズ 102×132×46 mm(突起含まず)
    重 量 0.81 kg
    実施責任者 研究開発本部システム開発部 岡 範全 担当部長
(5)革新的地球センサ・スタートラッカー(DLAS:Deep Learning Attitude Sensor)

テーマ名「深層学習を応用した革新的地球センサ・スタートラッカーの開発」(東京工業大学)

東京工業大学河合研・松永研は民生品を用いて安価なスタートラッカーおよび地球センサを開発した。本スタートラッカーは超小型衛星での使用を想定しており、軌道上にて較正観測、動作実証実験、長期性能モニタを行う。地球カメラは独自に開発したシンプルなAIを用いて、衛星軌道上という“エッジ”での画像認識を行い土地利用・植生分布の識別を行う。さらに、識別した地形データを応用して、全く新しい3軸姿勢推定法の実証実験を実施する。
  • 諸元表
    サイズ コントローラユニット:245×195×45 mm  カメラユニット:107×193×116 mm
    重 量 一式約2.15 kg(カメラ2台を含む)  コントローラユニット:0.91 kg  カメラユニット:0.62 kg
    実施責任者 理学院 谷津 陽一 助教
    共同実施者 株式会社天の技(旧社名:株式会社Stray Cats' Lab)、東京大学、公益財団法人 若狭湾エネルギー研究センター
(6)軽量太陽電池パドル(TMSAP:Thin Membrane Solar Array Paddle)

テーマ名「軽量太陽電池パドル機構」(JAXA)

JAXA開発の薄膜電池を採用し、従来のハニカムリジッドパネルと比較して1/3に軽量化した太陽電池パネル5枚を用いたパドル機構の軌道上での展開実証を行う。
  • 諸元表
    サイズ 展開時 2269×2829×252 mm
    重 量 12.2 kg
    実施責任者 研究開発部門第一研究ユニット 今泉 充、 住田 泰史
    共同実施者 日本電気株式会社、株式会社シャープ
(7)超小型・省電力GNSS受信機(Fireant:Miniature Spaceborne GNSS Receiver)

テーマ名「超小型・省電力GNSS受信機の軌道上実証」(中部大学)

最新の車載用GNSS受信機アーキテクチャをベースに、超小型衛星での利用に最適化した切手大のGNSS受信機を宇宙環境で動作することを実際に確認する。
  • 諸元表
    サイズ 52×52×11 mm
    重 量 45 g
    実施責任者 工学部宇宙航空理工学科 海老沼 拓史 准教授
    共同実施者 株式会社センサコム

超小型衛星

(1)マイクロドラゴン(MicroDragon)

テーマ名「海外新興国への衛星開発教育支援により衛星利用および海外市場を拡大するための地球観測マイクロ衛星」(慶應義塾大学)

  • (1)海色リモートセンシング
  • (2)エアロゾル偏光リモートセンシング
  • (3)ほどよしバスからの改良点(FOG等)の軌道上検証
  • (4)帯電防止用ATOコーティングの特性劣化測定
  • 諸元表
    サイズ 50×50×50 cm
    重 量 50.5 kg
    実施責任者 大学院システムデザイン・マネジメント研究科 前野 隆司 教授
    共同実施者 東京大学、東北大学、北海道大学、九州工業大学、VNSC(ベトナム)
(2)超小型理学観測衛星ライズサット(RISESAT:Rapid International Scientific Experiment Satellite)

テーマ名「高空間分解能スペクトル撮像技術の確立による新規地球環境計測及び農林水産鉱業市場の開拓と海外衛星利用市場の拡大」(東北大学)

  • (1)高分解能マルチスペクトル観測
  • (2)衛星バスシステム(姿勢制御系)の動作性能実証
  • 諸元表
    サイズ 50×50×50 cm
    重 量 59.3 kg
    実施責任者 工学研究科 桒原 聡文 准教授
    共同実施者 北海道大学
(3)人工流れ星実証衛星「ALE-1」

テーマ名「流星源と放出装置を用いた人工流れ星の実現可能性と市場性の検証」(株式会社ALE)

  • (1)人工流れ星に関するエンターテイメントとしての技術検証と市場性の検証
  • (2)人工流れ星を利用し、高層大気の密度、風、成分等を観測
  • (3)人工流れ星の再突入による軌道の変化と現象の理解
  • 諸元表
    サイズ 60×60×80 cm
    重 量 68 kg
    実施責任者 岡島 礼奈 代表取締役社長
    共同実施者 東北大学、首都大学東京、日本大学

キューブサット

(1)多機能展開膜実証3UキューブサットOrigamiSat-1

テーマ名「3Uキューブサットによる高機能展開膜構造物の宇宙実証」(東京工業大学)

  • (1)ブーム・膜複合構造による「多機能展開膜構造」の宇宙実証
  • (2)2U+1Uサイズの「実験プラットフォーム」構築と宇宙実証
  • (3)5.8GHzアマチュア無線による高速ダウンリンクとUHF膜上アンテナ受信
  • 諸元表
    サイズ 10×10×34 cm
    重 量 4.1 kg
    実施責任者 工学院 坂本 啓 准教授
    共同実施者 日本大学、サカセ・アドテック株式会社、株式会社ウェルリサーチ
(2)月探査技術実証衛星「Aoba VELOX-IV」

テーマ名「ルーナーホライゾングロー撮影を目指した、パルスプラズマスラスタによるCubeSatの姿勢・軌道制御と超高層大気撮像高感度カメラの実証」(九州工業大学)

  • (1)パルスプラズマスラスタ(PPT)によるモーメンタムダンピング
  • (2)PPTによる軌道制御
  • (3)高感度カメラでの地球縁の超高層大気発光現象撮影等
  • 諸元表
    サイズ 10×10×22 cm
    重 量 2.6 kg
    実施責任者 宇宙環境技術ラボラトリー 趙 孟佑 教授
    共同実施者 シンガポール南洋理工大学(NTU)、台湾国立成功大学(NCKU)
(3)アマチュア通信技術実証衛星「NEXUS」

テーマ名「次世代アマチュア衛星通信技術の実証」(日本大学)

既存のアマチュア衛星より高速な衛星通信や操作可能なカメラを提供し、アマチュア無線家によるCubeSat開発、衛星通信を促進することで、衛星搭載部品産業、衛星通信用地上機器産業等、衛星関連産業の発展を促す。
  • 諸元表
    サイズ 10×10×11 cm
    重 量 1.3 kg
    実施責任者 理工学部航空宇宙工学科 宮崎 康行 教授
    共同実施者 日本アマチュア無線連盟