研究成果の一例
主軸用粉塵シールの研究開発
ローバの主軸など、確実な密封が必要なところに使う粉塵用シールとして、いくつかのシールの研究開発を行っています。その一つとして、メカニカルシール(図1)の研究を行っています。
レゴリスが回転軸と固定部の間のシール面に入っても、摩耗してシール性が落ちないように、硬くかつ摩擦が小さい材料やコーティングを選定・開発しています。また、シール性を維持しつつ、回転に必要な力がなるべく小さくなるよう、押しつけ力や材料を最適化しています。図2は、真空粉塵環境下で温度を低温側に変化させながら行った際のトルクの推移を示しています。通常使われる樹脂製のシールに比較して、温度の影響を受けず低トルクで推移しているのが分かります。試験後の粉塵の侵入も見られませんでした。
軸受用粉塵シールの研究開発
レゴリスに直接触れる軸受用の簡易シールとして、 カラーと呼ばれるリング状の樹脂材料を用いるタイプと、フェルト材を用いるタイプを研究しています。カラーシールについては、樹脂カラーがしっかりと軸受端面を押さえてシールできる形状を設計し、押しつけ力の最適化を図りました。フェルトシールは、フェルト材を宇宙用に使う新しい試みです。高いシール性を確保しながら少ない抵抗で回ります。