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支える研究 宇宙活動拡大のための機構マテリアル基盤技術の高度化 姿勢制御機器・軸受回転系の高信頼性化と寿命予測

研究開発部門では、我が国の自律性と競争力を高めるため、フライホイールやジャイロなど、国産の誘導・制御機器の開発を行ってきました。衛星の姿勢喪失は電力、ミッションの喪失に直結することから、衛星の姿勢制御に用いる姿勢制御機器には非常に高い信頼性が要求されます。 しかしながらフライホイールをはじめとして、国内外の衛星プロジェクトにて、地上開発段階や軌道上運用段階で重大な不具合が発生しているのが現状であり、確実に動作する姿勢制御機器が期待されています。

研究の成果

本研究は、宇宙用フライホイール、ジャイロの姿勢制御機器の信頼性向上を目的に、長期連続運用試験を通して、信頼性・寿命データの蓄積、及び、信頼性・寿命評価方法確立を実施しています。

研究成果は、地上・軌道上の姿勢制御機器の健全性評価手法や判定基準に資するとともに、試験データの評価を通して、改善策の立案・評価及び設計・工程への反映を通して、姿勢制御機器の更なる信頼性向上を図っています。

ホイール長期連続運用試験

転がり軸受の寿命予測・加速試験法

人工衛星の寿命が長くなるにつれ、それに使われている転がり軸受の寿命を保証する試験を実時間で行うのが困難になっています。そこでテーマ、20年の寿命を2~3年以内で保証する寿命予測法と加速試験法に関する研究を行っています。

寿命予測や加速試験の構築を難しくしている要因の一つに、転がり軸受のトルクが動作期間中にほぼ一定の値を示し、寿命に至る直前で急増することにあります。このような推移では、動作期間中に何が、どのタイミングでどの程度起きると寿命に至るかを明確にできません。 また、軸受の状態も把握できず、寿命予測も不可能です。そのため、転がり軸受の動作期間中に単調に増加する、あるいは減少するようなパラメータを特定することが重要になります。

現在は、転がり軸受が寿命に至る過程の中で、潤滑油の粘度や油量といったパラメータがどのように推移するのかを測定する方法を検討しています。測定法が確定した後には、寿命予測法に用いるのに適したパラメータの選定や、 軌道上の実機の劣化と同様な劣化過程をたどる加速試験条件の選定などを行い、短時間で転がり軸受の寿命を把握する試験方法を構築していきます。

軸受の長寿命化・大型化・高速化

人工衛星の設計寿命は延長の傾向にあり、ノーメンテナンスで20年以上連続駆動できる軸受の実現を目指しています。本研究では表面張力を利用することで軸受に潤滑油を少量ずつ供給する構造を考案し、長寿命軸受ユニットとして完成させました。

中央ケース:転がり軸受
左側ケース:外輪・セラミックス製の玉・保持器・内輪
右側ケース:多孔質体(白色、写真はポリエチレン製)と間座