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先導する研究 アルテミス計画に向けた宇宙探査技術の研究 重力天体表面探査技術

宇宙探査にとって、天体表面着陸後の実際に探査する技術は、まさにコアな技術であると言えます。我々は表面探査技術として、その場観測技術、走行技術、掘削・採取技術、エネルギー技術、熱制御技術、除塵/防塵、機構潤滑技術の目標を全体シナリオから設定した上で、それを実現するための研究を実施しています。

研究の目標

その場観測技術

  • 月惑星表面での資源の利用可能性調査や環境調査を行う機器の開発を行っています。

掘削・採取技術

  • 無人の探査から国際的な議論の進む有人地質探査までを想定し、土壌や岩石を採取する具体手法の検討を行います。その場観察やサンプルリターンに役立てることができます。

エネルギー技術

  • 月探査拠点や大型探査ローバへの適用を目指し、250Wh/kgの軽量かつ-40℃でも使用可能な260Ah級リチウムイオン電池の開発を進めています(-40℃という低温で動作可能な電池を開発することで極低温環境に晒される夜間の熱設計の簡素化が期待できます)。
  • 軽量ローバへの適用を目指し、-20℃から+100℃の範囲で利用可能な高出力タイプの小型リチウムイオン電池の開発を進めています(高温高出力対応にすることで、日中でも太陽電池発電の補助に利用することができ、太陽電池面積の小型化にも貢献できます)。

熱制御技術

  • 外部熱環境に応じて熱輸送をON/OFFできるヒートスイッチの開発を進めています。越夜の実現のためにはOFF状態(断熱状態)の性能を高めて夜間の熱リークを大幅に低減することがキーとなります。
  • 磁界共鳴ワイヤレス電力伝送で使用する磁界を透過するMLI(多層断熱材)を開発しています。MLIを透過してワイヤレス電力伝送ができれば、ローバの月面越夜に必須である電力線を通じた熱リークの大幅な低減が可能となります。(JAXA独自のアイデア。特許出願中(特願2018-083317))

機構潤滑技術

  • 月面の真空粉塵環境において、駆動機器の正常な動作を確保するための機構潤滑技術、粉塵に対するシール技術の研究開発を進めています。常温および極低温下においてもシール性と低トルクを確保し、ローバやミッション機器の高い信頼性を確保します。

除塵/防塵技術

  • 月面での探査において、太陽電池や放熱面にルナダストが堆積してしまうと、発電効率の低下や放熱能力の低下が想定されます。そのため、太陽電池や放熱面の表面に電極を形成してそこに電圧を印可することで、静電力により、ルナダストを付着させない(防塵)、付着しても除去する(除塵)技術の研究を行っています。
  • Electrical Dust Shield ラジエータの模式図(左)と試作品(右)