研究の目標
本研究の目標は、再生可能エネルギーを効率的に化学的なエネルギーに変換するための基盤技術の創出に繋げるため、低消費電力での水素製造と水素による低温高効率での炭酸ガスメタン化反応、およびこれらを結ぶシステム構築を図ることです。 この中で、JAXAは閉鎖環境制御技術として培った空気再生技術を応用し、水素利用社会構築への貢献を目指しています。
JAXAでは、有人用閉鎖環境制御技術として、炭酸ガスを水素で還元して水とメタンを合成するサバチエ反応の研究を進めてきています。我々は炭酸ガスから水を再生する技術としてサバチエ反応に注目してきました。 その意味では、メタンは現在の有人用閉鎖環境制御技術としてはあまり注目されていませんが、地上用途では体積当たりに運べる水素の量が多く、再生可能エネルギーを移送するエネルギーキャリアとして有効であることが知られています。 今日、ドイツ等では「Power to Gas」という掛け声のもとでメタンをエネルギーキャリアとする研究が加速しています。ただし、一般的な炭酸ガスのメタン化反応は350℃以上の高温維持が必要であり、メタン化のための水素製造には 1.4 V/cell以上のエネルギー投入が必要とされてきました。
我々は、高効率での水素製造を行いつつ、メタン化反応温度を可能な限り低温とし、低入力エネルギーによる再生可能エネルギーのより効果的な利用を考えています。