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宇宙機搭載用データレコーダの研究

地球上のアンテナを配置する場所や位置によって、1日に人工衛星と通信できる回数・時間は決まっています。データを地上に下ろせない間は、人工衛星の中で大量の観測データを一時保存するデータレコーダ(記録部)が必要になります。 第一研究ユニットでは、フラッシュメモリやDRAM等、種類の異なるメモリを使い分けて、人工衛星のミッションに合わせたデータレコーダの研究開発をしています。

研究の概要

第一研究ユニットでは、DRAM系メモリとフラッシュメモリの2種類のメモリを使って宇宙機搭載用データデコーダを研究開発しています。

DRAM系メモリを用いたデータレコーダ

パソコン用メモリとして使われているDDR SDRAM (Double Data Rate SDRAM)は、高速なデータの読み書きが可能なため、大量の観測データを扱う大型の地球観測衛星への適用が期待されます。

フラッシュメモリを用いたデータレコーダ
フラッシュメモリを用いた
データレコーダの電気試験の様子

USBやSDカードとして使われているフラッシュメモリは、電源を落としてもデータが保存できる上に容量も大きく、省電力で動作させることができるため、長期間飛行する科学探査機や大容量なデータを保存したい人工衛星への適用が期待されます。

研究成果(より詳細な研究内容)

メモリの放射線試験
放射線試験の様子

宇宙空間では、銀河宇宙線などの高い放射線粒子が存在していて、電子部品の誤動作を引き起こす可能性があります。一度、ロケットで打ち上げてしまうと、不具合が発生しても修理することはできません。 そこで、データレコーダに搭載するメモリデバイスにおいて、厳しい環境下でも問題なく動作できるのか、放射線試験を行って評価をしています。

高密度実装技術

近年、人工衛星が観測するデータ量は増え続けており、それを記録するデータレコーダの容量も増大しています。しかし、衛星は通信機器やセンサ等、様々な装置を載せているため、装置をできるだけ小型にすることも必要です。 そこで、同じスペースにたくさんのメモリを載せる「メモリスタック構造(高密度実装技術)」も研究しています。

メモリサブモジュール(メモリ 20×2=40個搭載)

発表論文等

  • 関妙子 他:「フラッシュメモリを用いた宇宙用不揮発データレコーダの開発」, 第55回宇宙科学技術連合講演会, 1A03, 2011
  • Seki Taeko, Mami Abe, Satoshi Ichikawa : Develpment of Mass Data Storae for Space Applications with Commercial Memory Devices, 29th International Symposium on Space Technology and Science (ISTS), 2013-j-21, 2013.
  • 阿部まみ 他:「NVDRに用いた民生品フラッシュメモリの放射線耐性」, 2012年電子情報通信学会, B-2-56, 2012
  • 関妙子 他:「フラッシュメモリを用いた不揮発データレコーダ」, 2012年電子情報通信学会, B-2-55, 2012
  • 阿部まみ 他:「次世代衛星向けミッションデータ処理装置の開発」, 第57回宇宙科学技術連合講演会, 1H04, 2013
  • 阿部まみ 他:「次世代衛星搭載ミッションデータ処理装置の開発」, 2013年電子情報通信学会, B-2-67, 2013
  • 阿部まみ 他:「民生品DDR3の放射線によるエラー対策の検討」, 2014年電子情報通信学会, B-2-2, 2014

アウトカム

従来のデータレコーダに使用してきたメモリに比べて、より大容量な新規メモリを採用することで少ない部品数と実装面積で必要な容量を搭載でき、小型・低コストのコンポーネントが実現できます。 また、フラッシュメモリの場合、深宇宙探査等では電源OFFでもデータ損失がないため、消費電療を優先した運用も可能となります。

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