MPAC & SEED実験
ロシアサービスモジュール(SM)及び「きぼう」日本実験棟(JEM)利用、
微小粒子捕獲実験及び材料曝露実験
この宇宙実験は、最長3年間にわたって宇宙空間における微小粒子の捕獲実験及び宇宙用材料の曝露実験を実施したもので、これまでにわが国が実施してきた同種の実験と比べて長期間の実験であることが大きな特徴です。
更に、SM/MPAC&SEED実験の特徴としては、実験開始後1年、2年及び3年経過毎に実験試料を回収したため、最長3年間にわたる微小粒子の捕獲数変化、曝露材料の経年変化を評価することが可能となったことが挙げられます。
また、JEM/MPAC&SEED実験の特徴としては、国際宇宙ステーション進行方向前方に取り付けられていることから、周囲の構造物による影響がSM/MPAC&SEED実験に比べ少なく、より精度の良い宇宙環境予測が可能であることが挙げられます。
これらの実験結果は世界的にみても貴重な実験成果であるとともに、わが国の今後の宇宙機開発に大きく貢献するものです。
微小粒子捕獲実験
ISS軌道に存在する微小粒子(スペースデブリ、マイクロメテオロイド等)の存在量、大きさ、組成、衝突エネルギ等について評価し、安全な宇宙活動に支障をきたす恐れのある微小粒子環境の把握、宇宙環境モデルの最新化などに貢献するものです。
材料曝露実験
宇宙機の長寿命化、高信頼性化のために、宇宙機の曝露部に使用される様々な宇宙用材料の耐宇宙環境性の向上が重要になります。曝露実験では、各種の宇宙用材料(熱制御材料、固体潤滑剤等)を宇宙放射線、原子状酸素等の宇宙環境にさらし、 それら材料の劣化状況、及び宇宙機からのアウトガスや姿勢制御用ガスジェットのプルーム等の汚染物による汚染状況を評価し、今後の宇宙用機器等の開発に資するものです。

微小粒子捕獲実験装置及び材料曝露実験装置(MPAC & SEED)

SM/MPAC実験装置は、プログレスにより2001年8月に3式打ち上げられました。実験装置3式をSM外壁に取り付け、各々1、2、3年間宇宙環境にさらした後、曝露実験試料部分(微小粒子捕獲材、曝露実験試料)のみが回収され、ソユーズによって地上に帰還しました。

JEM/MPAC&SEED実験は2009年7月、宇宙環境計測ミッション装置(SEDA-AP)と共に打上げられ、JEMの曝露部での実験が開始されました。およそ8か月間、宇宙環境に曝された後、回収されました。MPAC & SEED実験に搭載され宇宙環境に曝された材料は、 地上に帰還後、各々分析・評価、及び地上対照試験データとの比較評価が進められています。

MPAC & SEED実験比較
SM | JEM | |
---|---|---|
搭載位置 | ロシアサービスモジュール (ISS後方) |
「きぼう」日本実験棟 (ISS前方) |
曝露期間 | #1: 315日 #2: 865日 #3:1403日 |
259日 |
暴露サンプル | エアロジェル ポリイミドフォーム |
エアロジェル 金プレート |
暴露面 | RAM, WAKE | RAM |
成果
地上に帰還した微小粒子捕獲材には、多数の微小粒子が採集されていました。その中から宇宙起源のマイクロメテオロイドも発見されています。今後、更なる詳細な分析が進むことによって微小粒子の起源が明らかになれば、 宇宙環境予測の精度向上につながることが期待されています。



