「宇宙に浮かぶ発電所」と表現される宇宙太陽光発電システム(SSPS)ですが、その実現のためには、完全再使用型の大規模宇宙輸送システムや、km級の大きさの宇宙構造物の軌道上無人組立て技術等が必要となるなど、宇宙技術を中心とした関連する様々な技術分野の革新が求められます。
また、それらの革新を実現するためには、長期間にわたる研究開発が必要となります。
研究開発を行う間にも変化する技術の伸長や、社会経済状況の変化に応じた研究開発を行うことが、非常に重要な課題となります。
SSPS研究チームでは、「研究開発の進め方」についても技術、自然科学はもちろんのこと、社会科学を含めた総合的な観点から、検討を行っております。
SSPSを実現するためには、その技術課題を解決するために、長期にわたる研究開発が必要となります。今後のSSPSの研究開発をどのように進めるべきか、外部有識者委員会から提言をいただきました。
提言も踏まえ、現在、総合システム検討では、主に以下の課題に取り組んでいます。
- SSPSの実現に必要な多様な技術のうち、優先的に研究開発に注力すべき分野の識別
- 各分野における適切な研究開発の推進
- 今後得られる技術研究成果を、早期の社会還元につなげていくための検討および取組み
SSPS総合検討委員会(2017年度-)
SSPS事業性委員会およびSSPSシステム検討委員会の両委員会により、SSPS研究開発シナリオ(初版)が完成し、研究開発を前へ進める道筋が示されました。
これを受け、2017年度に、今後のJAXAのSSPS研究開発活動に対する継続的かつ効果的なフォローアップを目的として、新たにSSPS総合検討委員会を設置しました。本委員会では分科会を5つ設置し、テーマに応じて専門家を加えて議論、助言や情報提供等を受けつつ検討を進めています。
分科会 1 (SSPSの多様な利用検討)
メンバー:狼 嘉彰(委員長・主査)、浅野 浩志、小松 伸多佳、瀧澤 美奈子、森 俊介
分科会 2 (マイクロ波無線電力伝送技術)
メンバー:篠原 真毅(主査)、牧野 滋
分科会 3 (レーザー無線電力伝送技術)
メンバー:豊嶋 守生(主査)、湯上 浩雄
分科会 4 (共通技術(大型宇宙構造物組立技術))
メンバー:樋口 健(主査)、狼 嘉彰、久保田 弘敏
分科会 5 (マイクロ波SSPSのシステム技術実証シナリオ)
メンバー:狼 嘉彰、篠原 真毅、久保田 弘敏、河内山 治朗
※敬称略
SSPS研究開発成果の社会還元
SSPSを実現するためには、広範にわたる技術課題を解決するための長期にわたる研究開発が必要となります。そのため、官民の様々な機関・組織と分担協力して研究開発を進める必要があります。
その中で得られる成果は、様々な宇宙利用や地上での利用に応用し、早期に社会に還元していくことを意識して研究開発に取り組んでいます。