当機構のウェブサイトではサイトの利便性の向上を目的にクッキーを使用します。
サイトを閲覧いただく際には、クッキーの使用に同意いただく必要があります。
詳細はプライバシーポリシーをご参照ください。

支える研究宇宙用部品の
戦略的研究開発

宇宙で人工衛星が長期間安定的に動作するためには、宇宙環境に耐える部品(宇宙用部品)が必要です。人工衛星開発に不可欠な宇宙用部品の研究開発を進め、自在な宇宙活動を継続できる能力を維持するとともに、将来の人工衛星の競争力強化をねらいます。

宇宙用部品の研究開発にあたっては長期的視点にたち、有望な国内技術を研究機関、民間企業との協力の下に発掘し、将来の衛星システムを効果的に刷新すると考えられる部品を優先的に研究開発し、研究成果の還元を早期に実現することを目指します。

耐放射線強化回路を搭載した
16nm FinFET 半導体試作チップ
ミニマルファブで試作した
RF-MEMSスイッチ群

研究の意義価値

大型の人工衛星では1機あたり約数10万~100万点の宇宙用部品が必要と言われています。宇宙用電子機器を組み立てるためには多くの種類の宇宙用部品が必要で、これらの部品を不足なく揃えなければ人工衛星は完成しません。

システム性能は構成する部品の性能を上回るものは実現できません。このため、部品の性能はシステム性能の限界でもあり、宇宙用部品の性能向上は、人工衛星の機能性能の向上には不可欠です。

戦略的に選ばれた部品を開発することにより、本研究のねらいである自在な宇宙活動を継続できる能力を維持し、将来の人工衛星の競争力強化が実現可能となります。

研究の目標

人工衛星の機能性能を左右する部品に注力して研究開発を進めています。本研究では、戦略的に必要となる宇宙用部品を3つのカテゴリにわけて目標を設定しています。

宇宙用のユーザプログラミングデバイス

多様・高度で柔軟なミッション要求への対応として、国産のSOI*1 ASIC*2 をベースにJAXAの回路設計技術を組み込むことで、5年程度を目途に次期宇宙用マイクロプロセッサの実用化を図ります。
さらに、10年先を展望して、宇宙機搭載計算機のGHzオーダ高速処理と耐放射線技術の両立化、軌道上再プログラミング技術の実現を目指し、超微細化半導体デバイスの耐放射線強化技術、ならびに低消費電力不揮発メモリ技術(ナノブリッジ技術等)について研究に取り組みます。

*1 SOI(Silicon On Insulator):絶縁膜上に形成したシリコンを基板とした半導体素子
*2 ASIC(Application Specific Integrated Circuit):特定用途向けに設計製造される集積回路の総称

宇宙用MPU

民生半導体部品技術の宇宙応用(小型パッケージ・実装技術)

スマートフォンをはじめとする携帯機器に使われているような最先端の部品技術の宇宙応用を促進、実用化を図ります。具体的には、小型パッケージ技術や、3次元に高密度実装する技術、ミニマルファブを用いたICやMEMS混載製造技術の検討を進め、衛星機器の劇的な小型高機能化を目指します。

宇宙用小型パッケージ

80%以上の省電力宇宙用部品の実用化

電源系周りのコンバータや制御用パワーデバイスを対象に、高速、低損失スイッチングに有効な化合物半導体の適用により、数年程度を目途に実用化を図ります。
さらに、10年先を展望して、超省電力型宇宙用機器を実現するためのノーマリオフコンピューティングを実現するための半導体技術の研究を進めます。

宇宙用パワーデバイス