HOME > 研究紹介 >未踏技術研究センター > スペースデブリ対策の研究 > デブリ除去システム

デブリ除去システム

デブリ推移モデルにより、今後デブリ低減策がよく遵守されたとしても、今すでに軌道上にあるデブリ同士が衝突することによって、デブリの数がどんどん増加してしまう自己増殖がすでに開始していると考えられています。そのような状況では、今後これ以上デブリを発生させないように努力するだけでは不十分で、今すでにあるデブリをお掃除する「デブリ除去システム」が必要です。しかも、なるべく早くデブリの除去を開始しないと、衝突により多数の細かいデブリが発生してしまいます。細かいデブリは除去するのも、検知して衝突を回避するのも困難ですので、早急にデブリ除去を実現する必要があります。
今後デブリの衝突が予測されているのは、高度700~1000km付近、1400km付近等の、混雑した軌道です。またこれらの高度でも、太陽同期軌道や高度1000km、軌道傾斜角83度など特定の軌道傾斜角にデブリが密集しています。そのような軌道から100~150個くらい、あるいは年間5~10個のデブリを除去すれば、今後デブリの増殖を抑制できると考えられています。そのためにはまず、どこにあるか・どのような姿勢運動をしているか分からないデブリに接近して捕獲することができ、そして混雑軌道からデブリを移動することのできる高い軌道変換能力を持つ作業機が必要です。
現在軌道上にあるデブリは打ち上げた時点では除去する義務はなかったので、デブリの所有者に除去させることはできないと考えられています。そのため最終的には国際的な枠組みでデブリ除去が実施されると想定されています。そこでデブリ除去の産業化も視野にいれ、なるべく低コストで実現することを目指しています。

今後の低軌道上物体の推移予測
今後の低軌道上物体の推移予測

国際機関間スペースデブリ調整会議(IADC)にて、6機関が同一の初期状態から予測を開始したところ、今後4~7年に一度大きな衝突が発生し、デブリの数が増加していくという結果で一致しました。
IADC Working Group 2, Stability of Future LEO Environment, IADC-12-08, Rev.1 January.

 
デブリ除去の流れ
デブリ除去の流れ

まずデブリ除去衛星は非協力対象(通常のランデブー対象と異なり、通信ができず、またリフレクタやマーカ等の距離計測用の機器も有していない対象のこと)であるデブリに衝突しないように接近し、どのような姿勢状態かも不明であるデブリの運動を光学カメラ等を用いて推定します。軌道を変換するための推進系を取り付け、そして混雑軌道から移動させます。この図では、軌道変換のための推進系として導電性テザーを想定しています。

 

参考

イメージビデオ「スペースデブリリムーバル」

導電性テザーを複数搭載したデブリ除去衛星が、デブリに接近、回転を止めた後、導電性テザーを取り付けて離脱するアイデア。デブリは導電性テザーごと軌道降下し大気圏に突入します。除去衛星は近くにある別のデブリに移動し、導電性テザーを繰り返します。
注)イメージビデオは除去の方法の一例であり、現在研究していない方法もイメージビデオに含まれています。

 

イメージビデオ「マイクロリムーバ」

導電性テザーを一式だけ搭載した小型衛星が、デブリにテザーを取り付け後、デブリと一緒に軌道降下します。デブリ一個につき小型衛星が一機必要になりますが、打ち上げの余剰重量を利用した安価な小型衛星を多数使用することで低コスト化を期待しています。
注)イメージビデオは除去の方法の一例であり、現在研究していない方法もイメージビデオに含まれています。

 

参考文献

 

デブリ除去要素技術の研究

デブリ除去システムに必要となる以下のような要素技術について研究を進めています。

  • 導電性テザー(EDT)
  • 除去対象デブリの検討
  • 運動推定
  • 推進系取付
  • 過去の研究