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HTV搭載導電性テザーの実証実験(KITE)の詳細

「HTV搭載導電性テザー実証実験(KITE)」の不具合にかかる原因究明結果について

平成28年12月9日(日本標準時、以下同)に打上げられた宇宙ステーション補給機「こうのとり」6号機搭載の「HTV搭載導電性テザー実証実験」(KITE)」において発生した不具合事象について、原因究明を行った結果を下記のとおりお知らせいたします。

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HTV搭載導電性テザー実証実験(KITE)の結果について

平成29年2月5日、「こうのとり」6号機に搭載して行った「HTV搭載導電性テザー実証実験(KITE)」を終了しました。

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実証実験紹介動画

HTV搭載導電性テザー実証実験(KITE)(6分13秒)

2016年度 制作

実証実験の概要

地球周回低軌道上のスペースデブリ(Space debris, 以下「デブリ」)を除去するための推進系として、導電性テザー(Electrodynamic Tether,EDT)推進を有望な候補の1つと考えています。EDTは地球磁場との干渉を利用して軌道降下させる燃料不要の高効率な推進系です。デブリ除去実現に向けた最初のステップとして、EDT要素技術実証を行うために当機構ではHTV(こうのとり)を利用したHTV搭載導電性テザー実証実験(Kounotori Integrated Tether Experiments,KITE, "カイト"と呼んでいます)を計画しています。

「こうのとり」の本来のミッションである国際宇宙ステーション(ISS)への物資補給完了後、大気圏再突入までの期間中の7日間を使って、宇宙空間でテザーの伸展や電子源の駆動、電圧発生評価など世界初となる導電性テザーに関する実証実験を行う予定です。

KITE実験中のこうのとりとKITE実験装置の想像図
KITE構成図

HTVの非与圧部背面よりテザーを格納したエンドマスを保持放出機構により放出して、700m級のテザーを伸展します。伸展中及び伸展後のエンドマス運動を、HTVのランデブセンサで計測することで、テザー伸展特性データを取得します。 またエンドマス放出時の様子と振動運動の様子はカメラでもモニタします。次にHTV側に搭載した電界放出型電子源から電子を放出することで10mA級のテザー電流を駆動します。テザー電流は電子源制御部で計測します。 電子放出に伴うHTV自身の電位変動データおよび相互作用する周囲プラズマ特性データの取得を行うために、静電プローブ機能付き帯電電位モニタを搭載しています。また、発生するローレンツ力を算出するために磁気センサを搭載しています。 実証実験後は切断機構によりテザーを切断し、こうのとりは大気圏に再突入します。これら搭載ミッション機器制御及び電源供給を行うために、データ処理装置/電力制御器も搭載しています。

KITE実験の流れ

これまで5回の宇宙ステーション補給ミッションに成功している「こうのとり」に実験システムを搭載することで、こうのとりの信頼性の高いセンサや機能、例えばランデブーセンサ、電力、通信インフラ、エンジンなどが利用できるため、 専用の小型衛星で実証するよりも信頼性が高く効率的に実証実験が行えます。また、実証機器そのものも、例えばテザー運動の観測に必要なのはランデブセンサ用のリフレクタのみでよいなど、簡易で故障確率を低減した実証機器とすることができました。 本実証実験で期待しているベアテザーの伸展・電子収集(電流が流れる)や電子源からの電子放出は無重力、宇宙プラズマ環境を模擬する地上試験が不可能なため、性能確認には実際の宇宙環境での実証が不可欠であり、 目標を達成できれば世界初の成果となることが期待されています。

KITE実験中の想像図

参考文献

  • Ohkawa, Y., Kawamoto, S., et al.: Preparation for On-Orbit Demonstration of Electrodynamic Tether on HTV, Transactions of JSASS, Aerospace Technology Japan, Vol.14, No. ists30, 2016.
  • Kawamoto, S., Ohkawa, Y., et al.: A Flight Experiment of Electrodynamic Tether Using HTV toward the Realization of Debris Removal, Transactions of JSASS, Aerospace Technology Japan, Vol.14, No. ists30, 2016.
  • Iki,K., Kawamoto, S., et al.: Expected On-orbit Tether Deployment Dynamics on the KITE Mission, Transactions of JSASS, Aerospace Technology Japan, Vol.14, No. ists30, 2016.
  • 大川恭志, 河本聡美: 地球磁場を利用したスペースデブリ除去技術の研究," 応用物理, 第85巻, 第10号, 2016.
  • Okumura, T., Miura, Y., et al.: Development of Potential Monitor and Electron Emitter Module for EDT Experiment on HTV-6, 14th Spacecraft Charging Technology Conference on website, ESA/ESTEC, Noordwijk, NL, 04-08 APRIL 2016.
  • 壹岐賢太郎,河本聡美,他: HTV搭載導電性テザー実証実験(KITE)におけるテザー伸展停止用ブレーキの開発状況,第59回宇宙科学技術連合講演会,3L18,2015.
  • 井上浩一,平子敬一他: 導電性テザー実証実験計画, 第57回宇宙科学技術連合講演,2013.

スペースデブリの除去推進系の研究の詳細はこちら

「こうのとり」の詳細はこちら

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