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高度ミッション研究グループ

宇宙エネルギー利用システム(SSPS:Space Solar Power Systems)とは、宇宙空間に太陽光の大規模集光装置を設置して、太陽光エネルギーをマイクロ波、またはレーザー光に変換して地球や月、人工衛星等に伝送し、電力として利用するシステムです。このシステム構築のためのマイクロ波やレーザー光によるエネルギー伝送技術、宇宙空間における大規模構造物の建設技術、ロボット技術等に関する研究を実施しています。

 

目標

SSPSは、将来の安定的でかつ二酸化炭素排出の極めて少ないエネルギー源として、宇宙空間から1基あたり約1GW(原子力発電所1基分相当)の太陽光エネルギーを低コストで地上に伝送し、電力等に変換して利用することを目指しています。このため、マイクロ波やレーザー光によるエネルギー伝送技術の確立、宇宙空間での大規模構造物の構築技術の確立を目標に、地上間、宇宙―地上間でのエネルギー伝送実験や構造物の組立実験を行っていきます。

 

宇宙エネルギー利用

宇宙エネルギー利用システムとは、地上約36,000kmの静止軌道上に設置された宇宙プラントと地上・海洋プラントで構成されています。
宇宙プラントでは、太陽エネルギーを収集し、そのエネルギーを地上に効率的に送るためにマイクロ波、またはレーザーに変換し、地上に伝送します。

宇宙エネルギー利用システムの仕組み

マイクロ波による太陽エネルギー利用技術(M−SSPS)

M-SSPSを実現する上でマイクロ波送電部を高効率にすることは非常に重要です。2007年度には、2006年度に試作したGaN半導体デバイスを用いて5.8GHz帯F級増幅器を試作し(図1)、その性能を評価しました。その結果、図2に示すようにドレイン効率76.5%、付加電力効率(PAE)68.7%、出力2.45Wという世界最高レベルの効率を達成しました。

図1
図1 試作した5.8GHz帯F級増幅器
図2
図2 5.8GHz帯F級増幅器の付加電力効率(ηadd)、ドレイン効率(ηD)、入出力特性

レーザーによる太陽エネルギー利用技術(L−SSPS)

図3
図3 距離500mレーザー伝送試験(角田宇宙センター)
L-SSPSを実現する上で太陽光を直接レーザー光に変換する技術、レーザーエネルギー伝送技術が非常に重要です。本研究では、Nd/Cr-YAGセラミックレーザー材料を用いた太陽光励起固体レーザーの高効率化、高出力化の研究、500mレーザー伝送試験施設(角田宇宙センター)による長距離伝送(図3)、大気透過への気象依存性の研究を行っています。

太陽エネルギー利用のための共通技術

図4
図4 試作したインフレータブル展開構造物
SSPSは、軌道上で大きな構造物を組み立てる必要があります。例えば、M-SSPSでは、2.5km×3.5kmの楕円形の集光鏡を組み立てることを想定しています。このような大型構造物を組み立てる技術を確立するために、インフレータブル構造のように軽量な構造様式(図4)の検討、また構造物を組み立てたり、修理するためのロボットの研究等を行っています。

月面氷探査ミッション

月での人類の活動に必要なエネルギーを確保する事、及びロボット技術の実証として、月面ローバーへのレーザーによるエネルギー伝送をJAXAでは検討しています。

SSPS研究の歴史

SSPSは1960年代に提唱されてから、未来のエネルギーとして研究が続けられています。

宇宙構造物の研究

通信・地球観測衛星、宇宙エネルギー利用システム等の次期軌道上構造実現に向けた超軽量大型熱構造設計技術の確立を目指しています。