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電子部品の開発

電子部品の研究

宇宙用1Mゲートアレイ
宇宙用1Mゲートアレイ
ロケット・人工衛星等の宇宙機への使用が想定される電子部品に関して、以下の項目についての研究を行っています。
 

電子部品の耐放射線性の研究

宇宙機に使用する電子部品の耐放射線に関する研究として、劣化メカニズム並びに重粒子イオンによるラッチアップ(SEL:大電流が流れ続け、熱損する現象)、アップセット(SEU:記憶情報が変化する現象)、バーンアウト(SEB:パワーMOSFETで、大電流が流れ、焼損する現象)およびゲートラプチャ(SEGR:パワーMOSFETのゲートに大電流が流れ、焼損する現象)の発生メカニズムを究明しています。また、耐放射線性向上の技術の基礎的研究も行っています。これらの成果は、耐放射線を有する部品の開発に利用されます。

 

民生用電子部品の宇宙適用性の研究

民生用電子部品について、宇宙機への適用にあたっての問題点の研究を行っています。具体的には、民生用半導体部品の耐放射性試験、民生用部品の宇宙転用技術の検討および高密度実装技術の研究を行っています。また、宇宙での実証方法、宇宙用として必要となる評価項および品質を保証するために必要な評価試験の研究を行っています。これら成果は、宇宙用共通部品として開発に移行する場合に、その開発課題の洗い出し、および民生部品を宇宙へ適用する場合のガイドラインとして活用されます。

 

将来型電子部品の研究

フライトデータ評価

MDS-1等に搭載された試験用地上用太陽電池(TSC)や太陽電池パドルの発生電力データ、および民生用半導体電子デバイス(CSD)の発生エラーデータを取得し、地上評価試験結果と比較検討を実施しています。この結果から、放射線劣化メカニズム、エラー発生メカニズムや発生電力予測等を評価し、地上試験技術や人工衛星に搭載された太陽電池、半導体デバイスの寿命、動作予測に役立てる計画です。

 

電子部品に関する共同研究

JAXA研究開発本部では、他研究所と共同で、電子部品の対放射線性に関する様々な研究を行っています。

1.半導体部品の耐放射線性および放射線測定装置の校正に関する研究

相手先:理化学研究所
概要:宇宙用および民生用半導体素子等に重イオン照射を行い、シングルイベント、放射線劣化および損傷の機構を解明し、耐放射線性基準の策定と耐放射線性電子部品の開発に寄与させる計画です。また民生用半導体部品を宇宙に適用していくための評価手法について研究しています。

2.宇宙用半導体素子の耐放射線性評価法の研究

相手先:日本原子力研究所
概要:次世代のロケットおよび人工衛星への使用が期待される新型太陽電池や超高集積回路に対して、重粒子・電子線・陽子線・γ線照射を行い、放射線劣化挙動を明らかにする研究です。また実環境における劣化や誤動作の正確な予測手段の確立に役立てる計画です。

3.高精細度テレビジョンカメラ用撮像素子の放射線影響評価

相手先:放射線医学総合研究所
概要:国際宇宙ステーション等で使用予定の高精細度テレビジョンカメラ用撮像素子(CCD)に対して、高エネルギー陽子線・重粒子を照射し、バルク損傷の発生機構について評価解析を行っています。

4.オプトデバイス放射線劣化の研究

相手先:熊本電波高専
概要:衛星搭載機器に必須であるフォトカプラに使用しているオプトデバイスの放射線劣化の研究を行っています。特にLEDの劣化に焦点を絞り、温度条件、試験に使用する放射線源についての検討を行い、デバイスに対して照射試験を実施しています。照射試験データからLEDの放射線劣化現象の評価・解析を実施する計画です。

 

電子部品の開発

ロケット、人工衛星、日本実験棟「きぼう」等のプロジェクトに、共通または繰り返し使用する部品および材料の内、可能な限り汎用性をもたせ共通仕様で開発した方が、信頼性、コスト、入手性等の面で有利なものについて、共通部品および材料として開発を行っています。主なものは次の通りです。

トランジスタ等

シングルイベント耐性を向上したパワーMOSFET

IC

 

電子部品の解析評価装置の整備・運用・管理

宇宙用電子部品の研究・開発を効率的に実施するために必要な解析・評価装置の整備を行っています。

 

プロジェクト支援

ALOS、WINDS、HTV、ETS-8、H-IIA等のプロジェクトで採用されている国内外の既開発部品に対して、使用方法や故障モードに関して随時 コンサルタント業務を行っています。また、現在開発している宇宙用部品においても開発状況、試験データ等の情報提供および技術的支援、使用方法等のサポートを実施しています。

 

重点研究活動

部品研究開発プロジェクトに対する分担

戦略的に国内に技術を確保する部品について、具体的な部品開発を行います。
宇宙用部品は、宇宙機器の性能と信頼性を決定的にする要素を持っています。そこで、我が国の宇宙活動を継続しつつ自立性を確保するために、戦略性を考慮しながら長期的視点に立った部品の研究開発を実施します。
このプロジェクトでは、我が国が開発を行う宇宙機のリスクを低減させ、その信頼性を向上させるために必要なすべての手段を講ずることを目的としていま す。そのための活動の一部として、EEE部品(Electrical、Electronic、and Electromechanical parts)、先端的な実装技術、機構部品、材料の選択から入手、トレーサビリティ、試験、取扱い、包装、保管、適用にわたるすべてのフェーズを管理するプログラムを展開します。これらの管理はプロジェクトの契約においても明確に要求されることを前提としています。
なお、JAXAが自ら行う評価試験等の作業においては、極力スピーディであることを念頭におき、国内の宇宙機開発メーカの宇宙分野における活動に対する強力な支援活動を実施します。

ミッション・クリティカルな機構部品や材料(以下、「部品」に「材料」を含める)および戦略的な電子部品など、国内に技術を確保すべきものについては、中小企業等の活用、生産能力の維持に必要な開発体制、予算、軌道上実証計画等を検討し、国内部品の維持活動、必要な技術開発、評価を実施します。
海外部品により代替するものについては、ミッションの信頼性を確保するために必要な評価を実施します。

海外との協力体制を構築し、対等な関係を維持します。将来的に新しい情報を確保するためにもギブ・アンド・テイクが可能な技術力を保持できる体制が必須であると考えています。

 

速搭載コンピュータの研究に対する分担

200MIPS級64bitMPUについて、宇宙機搭載を目指して開発を行います。
高速搭載コンピュータは宇宙機の高精度位置決定、高精度姿勢制御などに利用することを考慮し、演算能力200MIPS程度、大きさは数センチ角程度のモジュール化の実現を目指します。また、将来的な利用形態を考慮し、ネットワーク管理機能も付加する計画です。

 

小型軽量パワーシステムの研究に対する分担

PowerMOSFETの研究およびDC/DCコンバータの研究を行います。
人工衛星および宇宙機の中で質量・容積面の占有率が高く、またその寿命を左右するパワー・システムについて、国際競争力のある小型・軽量化、および高信頼化を図り、成果をプロジェクトへ適用し、ペイロード能力の向上とミッション達成を確実なものとする計画です。
本研究では、小型軽量化に向けて、共通的に効果のあるパワーMOS・FET、およびDC/DCコンバータに研究テーマを集中し、宇宙実証を進める計画です。

パワーMOS・FETの研究

宇宙放射線耐性の高い半導体デバイスの開発と、RDS(on)低減による並列使用部品の削減により、電源システムの小型高性能化を実現します。日本原子力研究所との共同研究に基づき取得している放射線試験のデータを有効活用し、宇宙での実証試験の成果を確実なものとする計画です。

DC/DCコンバータの研究

シートトランスによるマイクロソルダリングの除去と、フォトカプラ/パワーMOSFETの耐放射線強化技術により、高信頼性・高効率なDC/DCコンバータを実現します。効率85%以上、シングルイベントフリーの製品開発を目指しています。